月うさぎの住処

満月碧が運営する幽遊白書・飛影×蔵馬ファンサークル「玉兎」による幽遊白書メインのブログです、看板息子のスーパードルフィー飛影・蔵馬・妖狐・秀一・忌み児飛影もおります同人要素や人形の苦手な方はご遠慮下さい。


ブライダルティアラ

  1. 2014/01/05(日) 12:38:08|
  2. 小説
  3. | コメント:0
ヒエザイルお遊び部屋に収納してあった小説がリンクが切れてたのでこちらに引っ張り出してきました~。

以前にヒエザイルの皆でバラ園に行った時に、いろんな素敵な名前のバラがあって「小説の題名とかに使えそうだよね」という話から「バラの名前を1個題名使ってSSを書く」というお題がでまして、その時に書いたSSになります。
題名はバラ園にあった白いバラの名前からとりました~。
飛×蔵で桑×雪な感じのほんわか話です。よろしければ追記にてどうぞ~
ブライダル ティアラ


「ほら、飛影、早くしないと遅れちゃいますよ!」
「…くだらん、俺は行かんぞ」

 昨日まで散々説得したものの、直前になってしぶる飛影を強引に引きずって目
的地へ向かう。行き先は小高い丘の上に建つ、白い小さな教会…。

「ダメだよ、雪菜ちゃんが待ってるんですから。貴方が行かなくてどうするんで
すか。」
「…何故そんな人間かぶれの集まりに、俺が出なきゃならんのだ…」
 ブツブツと文句を言いながらも、逃げ出さないあたり、本心では嫌がってはい
ないのだろう。ただ、ちょっとしゃくに障るだけなのだ。

 そんな飛影の子供っぽい抵抗に苦笑をもらしつつ、何度聞かせたか分からないが、
噛んで含める様に説得する。

「…当然でしょう?なにせ今日は、貴方の大切な妹の結婚式なんだから…」

 そう、今日は特別な日…桑原くんと雪菜ちゃんの結婚式
長年の清い交際を実らせ、人間と妖怪という垣根を越えた二人の新たな門出の日…

「おー飛影、蔵馬!やっときたか、おせえぞー!」
「はやく早く~っ!始めらんないじゃないか!」

 緑に囲まれた、小さな薔薇園のあるチャペルでの、仲間だけでの結婚式。
いつもの仲間達が、いつもより少しあらたまった格好で教会の前に集まっていた。
 憮然としたままの飛影を連れてその輪の中に入る。

「遅れてすみません、桑原くん達は?」
「二人とももうスタンバイしてるよ、あたしらも急ごう!」

 白い石造りのチャペルの中、バージンロードのその先に、緊張した面持ちで桑原
くんが待っている。

 パイプオルガンの演奏の中、石造りのドアが開き、純白のドレスに身を包んだ花
嫁が姿を見せた。

 清楚な白いウエディングドレスを纏い、薄いベールにティアラを戴いた雪菜ちゃ
んの花嫁姿は、目映いばかりに輝いていた。

 静かな足取りで歩み寄ると、愛しい新郎に手を引かれ、祭壇の前に並び立つ。
振り向いて皆を見渡した花嫁は、参列者の中に飛影の姿を目にとめると、ふわりと
花が綻ぶような笑顔を浮かべ、小さく頭を下げた。

「………」
 飛影は頷くように目を伏せて、その姿を見守った。
言葉にはしなくても、兄妹には確かに伝わる思いがあるようだった。

 苦楽を共にしてきた仲間たちが見守る中、厳かな誓いの言葉が響く…。

「病める時も…健やかなる時も、汝はこの者を妻とし、愛する事を誓いますか…?」

「…もちろん誓うぜ!!男桑原、雪菜さんは俺が守る!」
新郎の裏返った大声が、教会の天井にこだまする。

「…ちょっと桑原くん!ハイだけでいいのよっ!?」
思わず、参列者からつっこみがとんだ。

「へっ!?あっそうだった!!つい力がはいっちまってよぉ、へへっ…」
「ふふ、和真さんたら…昨日あんなに練習したのに…」
微笑ましい失態に、緊張した空気が一気に弛んで、笑顔がこぼれた。

「ったく…しょうがねえなあ、ビシッと決めらんねぇのかよ…!」
「でもまあ、その方が桑原くんらしいですね」
「…鼻の下がのびてるぞ、バカが…」

 口々にからかう仲間たちに、思わず新郎が叫ぶ。
「じゃかあしい!まだ式の途中なんだぞ、外野はだあってろ!」

 厳かな雰囲気はどこへやら、前代未聞の騒がしい一同に神父が困ったように咳払
いをした。
「…コホン、では続けます…。病める時も、健やかなる時も、汝はこの者を夫とし、
愛する事を誓いますか…?」

「…はい…、誓います…!」
揺るぎない瞳でまっすぐに桑原くんの目を見つめ、偽りない誓いをつむぐ。
 意思の強さは兄譲りか…たおやかな中にも、凛とした芯の強さを秘め、彼女は誰
よりも輝いて見えた。

「それでは誓いのキスを…」
新郎が照れながらも、目を閉じた新婦の額に、小さく口づけを落とす。

 沸き上がる喝采の中、はにかんだ二人は祝福に包まれ、二人の門出を
祝福する教会の鐘が高らかに鳴り響いていた。

「桑ちゃん、雪菜ちゃん!!おめでとー!」
「雪菜ちゃん、とっても綺麗よ。桑原くん、幸せ者ね」
喜びにあふれた二人が手を繋いで表に出ると、拍手と祝いの言葉が一斉にふりかけ
られた。

「う…っ皆…ありがとよ!」
すでに桑原くんは男泣きで、そんな新郎の涙をかいがいしく拭う新婦の
微笑ましい姿を誰もが祝福した。

「おめでとう、桑原くん、雪菜ちゃん」
飛影を引き連れ声をかけると、新郎は大げさにため息をついた。

「蔵馬!なんだよ飛影も連れてきちまったのか~!せっかくのめでてえ式によお」
悪態をつきながらも、今日はさすがに喧嘩にまでは至らないようだ。

「蔵馬さん、飛影さん、来てくださってありがとうございます…!」

きっと、雪菜ちゃんにとっては一番来てほしかった、たった一人の「兄」に、最高
の笑顔を見せた。

「…ふん、忠告に来ただけだ。…こんなバカと一緒になると苦労するぞ。」
「あんだとぉ!?てめぇ~~~表でろや!」
「バカが、もう出ている。」

 思わずいつも通りの罵り合いに発展した二人に、蔵馬が慌てて仲裁に入った。
「飛影!桑原くん!こんな所で喧嘩はやめてくれ」

 今にも掴みかかりそうなところをたしなめられ、バツが悪い新郎と新婦の兄は
蔵馬を挟んで子供の喧嘩のように反目した。

 そんないつものやりとりに苦笑した後、にっこりと微笑んで彼女は答えた。
「…ありがとうございます、飛影さん…。でも私、和真さんとなら…きっとどんな
「苦労」も楽しいですから…。」

「…雪菜さん…!」
感動に目を潤ませる新郎を一瞥した飛影は、その答えに納得したようにつぶやいた。

「………ふん、案外いい根性してるぜ」

 たった一人の妹への賛辞。皮肉めいた言葉の端にも、飛影なりの精一杯の祝福が
隠れていた。

「ありがとうございます…私…幸せになります…」

…だから…貴方も幸せになって下さい…

 そう続く言葉が聞こえた気がした…。
飛影にもちゃんと伝わったらしく、余計なお世話だと言わんばかりに、「フン」
と小さく鼻を鳴らすと、そっぽを向いた。

 兄妹のやりとりを見守っていた蔵馬は、辺りを見回すと、ふと目についた白い薔
薇の花を一輪手に採り、妖気を込める。

ふわりと白い花弁が無数に舞い上がり、花吹雪となって二人を包み込んだ。

「わあ……!綺麗…!まるで雪みたい…」
華麗な花の舞に感動を隠せず、無邪気にはしゃぐ二人に、蔵馬は恭しく祝辞を述べ
た。

「…これは俺からのお祝い、桑原くん、雪菜ちゃん、お幸せに。」

「ありがとうございます、蔵馬さん…!あ、じゃあ、私からこれをお返しに…」
そう言って微笑むと、彼女は手に持っていたものを蔵馬へと投げた

「わっ…!?」
反射的に受け止めてしまったそれは、白い花々を束ねた可憐なウエディングブーケ
…。

「あ~蔵馬!ずっる~い!!あたしたち女の子差し置いて!」
「ブーケトス、あたしも狙ってたのにー!」

 女子たちから一斉に沸き起こるブーイングの嵐。

「え…と…?いや…俺は男だから、これは誰か他の女性に…」

 困った蔵馬が花束を返そうとすると、横から静流がウインク付きで面白そうに宥
めた。

「だめよ、蔵馬くん。こういうのは貰ったんじゃ意味ないのよ。だからこれは蔵馬
くんが受け取らなきゃ、きっといいお嫁さんが見つかるわよ?」
「………え…いや、そんな、俺はまだ…」

 『お嫁さん』という単語が出た瞬間、後ろからひやりとするような殺気を感じた。
振り返らずとも分かる、怒りのオーラの発生源…。チクチクと背中に刺さる鋭い視
線が痛い…。

 蔵馬がどうしようかと悩んでいると、黒いオーラにはまったく気づかない彼の妹
が、無邪気な笑顔でダメ押しをした。

「どうぞ受け取って下さい蔵馬さん…私からのせめてものお礼です。でも、植物
のクエストの蔵馬さんにお花を差し上げるなんて、やっぱりおかしいでしょうか
…」

 花嫁にまで申し訳なさそうに小首をかしげられては敵わない。
一つ小さくため息をつくと、改めてこの重大な贈り物を受け取る…。

「…そんな事ありませんよ、嬉しいです。…じゃあ…ありがたく戴いておこうか
な…。」
 ほんの少し面映ゆい気持ちで華やかなブーケを抱き締める。
まるで自分が花嫁にでもなったような気分がした…。

「…いつまで騒いでやがる、俺は先に帰るからな」
自分の妹と恋人のやりとりを複雑な気分で見ていた飛影は、やりとりが一段落す
ると用は済んだとばかりにきびすを返す。

「あっ!待って下さいよ、飛影…! じゃあ、俺もこれで…お幸せに、二人とも」

 まだ騒ぎ足りなさそうな仲間たちに別れを告げて、すでに先を歩き出している
飛影を追って走り出した

「…飛影、待って下さいってば!…急にどうしたんです?」

「…別にどうもしない。」
 追い付いた蔵馬に目を合わせようともしないまま不機嫌そうに答える。

「せっかくなんですから、もう少しゆっくりしても良かったでしょうに…雪菜ち
ゃんだってもっと…」

「うるさいぞ、そんなにいたけりゃ貴様だけ残ればいいだろう。」

 どうやらご機嫌ななめな様子の恋人に困惑する。なにがそんなにヘソを曲げさ
せてしまったのやら…

「あ、もしかして飛影寂しいんでしょう?たった一人の大切な妹さんがお嫁に行
っちゃったんですもんね。まさに娘を嫁にだす父親の気持ち…ってイタタッ!」

 思い付いた原因に、いつものようにからかうと、ますます機嫌を損ねた飛影に
思いっきり髪を引っ張られた。

「バカにしてるのか、貴様…誰が父親だ…」
凄みをきかせた目で下から睨み付けられる。

「…違うんですか?じゃあなんで……」

 そうなるとさっぱり理由が思い浮かばない…。
改めて一連の流れを頭の中で反芻してみる。

…そういえば、さっき背中に感じた怒りのこもったす鋭い視線は…

「…もしかして飛影、俺が花束を受け取ったのを怒ってるんですか…?」

「………」
図星だったらしく押し黙ってしまった

 要するに、さっきの「いいお嫁さんが見つかる」という辺りが独占欲に火をつ
けてしまったらしい。

 これは機嫌をとるのは骨が折れそうだ…と小さくため息をつきつつ、内心ちょ
っと嬉しかった…。

…ヤキモチ…妬いてくれた訳だ…あんな些細な事で…
 こっそり笑って、ヤキモチ妬きな恋人をたしなめる。

「…あんなの、ただのジンクスですよ、根拠はありません。」

「…ジンクスだと…?」
飛影がいぶかしげに聞き返してくる

「人間界ではね、結婚式で、花嫁のブーケを受け取った女性は、次の花嫁になれ
るっていうジンクスがあるんですよ」

「ふん、人間はくだらん言い伝えが好きだな」
呆れたように吐き捨てる

「そうなると…次はブーケを受け取った俺が結婚する、っていう事になるわけだ
けど…、そもそも俺は男なのでジンクスの範疇外かな。」
 くすくすと笑って説明する蔵馬に、飛影がいぶかしげにジッと睨み付けてくる。

「…お前結婚なんかするつもりなのか…?」

 その視線に、言葉に含まれた独占欲は心地よかったが、これ以上機嫌を損なわ
れると厄介なので、やんわりたしなめておく事にした。

「…あいにく俺の場合は、結婚したくても相手が悪いので無理でしょうね。…な
にせ相手が「貴方」じゃねえ…?だいたい男同士じゃ結婚できないし…。」

 言外に「貴方だけなんですよ…」とほんの少しの非難も込めつつ、微笑って答
える。

 蔵馬の結婚したい相手が自分以外にはいないと分かってようやく機嫌を直した
飛影だったが、蔵馬のからかうような物言いに反発して、仕返しとばかりに皮肉
で返す。

「…ふん、お前は『ウエディングドレス』とやらは似合いそうだがな。」

 女装ネタは蔵馬のタブーだったが、誉めてるんだかバカにしてるんだかわから
ない台詞にも蔵馬は動じない。

「…いい意味にとっておきますよ。それとも…、ああいうドレス、俺に着て欲し
いんですか?」
ニッコリとわざとらしい笑顔でイヤミを返すと、飛影は言葉に詰まった。

「……うるさい奴だ」
忌々しそうに呟く飛影に、勝利を確信して、だめ押しにウインク付きで笑って見
せる。

「貴方が着て欲しいっていうなら、考えてあげますよ」
「…………」

 愉快そうに軽い足取りで隣を並んで歩く蔵馬の横顔を見つめ、何かを考えてい
た飛影がふと立ち止まる。

「…飛影?どうしたんですか?」
それに気付いた蔵馬も立ち止まり、何事かと覗き込んでくると、飛影は蔵馬を正
面から見据えた。

 真顔で手を伸ばすと、蔵馬の持つブーケから白い薔薇を数輪抜き取り、蔵馬の
頭に飾る。

「…お前はそれで十分だ」

「………っ!」
飛影の言葉の意図に気付いた蔵馬は、瞬間的に顔を赤く染めあげた。

 返す言葉もない蔵馬に、飛影はしてやったりとニヤリと笑うと、蔵馬の髪をひ
とふさ指に絡め、恭しく口付けた。

 まるで誓いのキスのように…

「…まったく…貴方には驚かされてばかりですよ…」
 悪戯に成功した子供のように、楽しげに顔を覗き込んでくる飛影に、降参とば
かりに呟く。

 紅い髪を白い花で彩り、赤くなった顔を隠すようにブーケに顔を埋める蔵馬は
初々しい花嫁のようだった。

「フン、なかなか似合うぞ」
頬を染めて、困ったように笑う蔵馬を引き寄せて、その花弁のような唇を塞ぐ合
間、蔵馬が小さく囁いた…。

「病める時も、健やかなる時も…いつまでも俺は貴方のものですよ…飛影…。」

「…上等だ…」
間近に見つめあいながら、口づけを交わす。

 二人きりの誓いのキスを、花ばなだけが見守っていた…。
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